弱い建物の補強方法の種類
昨今ではESGやSDGsなど環境に配慮することが求められています。建物においても古くなったからといってすぐに建て替えるのでなく、改修や耐震補強をしてより長期間建物を使用することが増えてきています。
この記事では鉄筋コンクリート造(以下RC造)建物の主な耐震補強方法について簡単に説明していきます。
・RC壁の増設による補強
壁の増設による補強とは、現在壁が配置されていない箇所に壁を増設したり、現在ある壁の厚みをより厚くしたり、現在窓のある壁の窓を塞ぐなどして建物の強度を高める補強方法です。比較的安価に補強を行えることがメリットですが、壁が増設されるため建物の使い勝手が悪くなったり、窓を設けられなくなることがデメリットです。マンションなど、比較的壁の多い建物に適した補強方法です。
・RC巻き立て、鋼板巻き立て、炭素繊維巻き付け補強
これらの補強は既存柱を補強する方法で、既存柱の外周にRC、鋼製の板、炭素繊維シートなどを巻き付けることで柱の粘り強さを高める方法です。炭素繊維とは軽く強度の高い材料で、飛行機の機体などに使用されています。一般的にはRC>鋼板>炭素繊維の順に安価となりますが、柱のサイズもその分大きくなります。壁の少ないオフィスビルや商業ビルなどに適した補強方法です。
・鉄骨ブレース補強
枠付きの鉄骨ブレースを既存の柱・梁内に設置することで、建物の強度を高める補強方法です。RC壁の増設と比較すると工事費は高くなりますが、開口部を塞がずに補強できたり、ブレースの形状によっては通路として使用することもできるため、使い勝手やデザインに配慮した補強を行うことができます。
・外付けフレーム補強
建物の外部に新たなフレームを増設することで、建物の強度を高める補強方法です。比較的工事費が高くなる、敷地に余裕が必要などの条件はありますが、建物内部の使い勝手を変えることなく補強ができ、建物デザインに調和した補強を行えます。また、建物外部のみ工事を行うため、工事中であっても建物を継続して使用することができます。
・免震、制震補強
建物内に免震、制振装置を設置することで耐震性能を高める補強方法です。一般的な補強方法が難しい建物や、より大きな地震に耐えることが必要な建物の補強に採用されることがあります。免震補強は東京駅など古い建物の補強に使用されています。
紹介した以外にも様々な耐震補強方法があり、新たな補強工法を開発している会社もあります。
また、近年ではただ単に耐震性能を高めるだけでなく、デザインにも配慮した耐震改修を行うこともあります。環境、耐震性能、デザインに優れた耐震改修をぜひ検討してみましょう。