ピロティの崩壊

ピロティとは、2階以上を部屋とし1階を吹き放ちにしたその1階部分のことをさします。「近代建築の5原則」の一つとして唱えられており、建物に開放感や軽快感を付与してくれます。街中の共同住宅の場合、駐車場として使われることが多く、むしろ駐車場とするためにピロティにしている場合があります。熊本地震でも1階駐車場のピロティ部分で柱がつぶれて崩壊したマンションが報じられました。

崩壊の原因は

壁の配置や壁量不足によるものと柱の鉄筋不足によるものと二通りが考えられます。壁については壁量が少ないため地震力による変形が柱に集中し、柱が耐えられなくなり壊れます。さらに駐車場の場合、車の出入りがあるため耐力壁が一方にしか配置出来なくなり柱への負担が増大します。柱の鉄筋問題(RC造)としては、新耐震基準以前の建物の柱は、帯筋が不足しており水平方向の力に対して弱く、ねばり強さも不足しせん断破壊※が起こりやすくなります。

※せん断破壊とは、ある面を平行方向にすべらせるように作用する力により引き起こされる破壊

最近は

ピロティの脆弱性や崩壊が問題になりピロティ駐車場は減り、機械式駐車場や地下駐車場にする建物が増えました。

補強方法

前述の原因の解消が補強方法につながるため、次のようなことが考えられます。

①  壁を増やす:耐力壁やブレースを追加する。

②  柱を強くする:鋼板巻き付け工法等で水平方向耐力とねばり強くする。

などがあります。

最後に

壁に囲まれた一般階に比べて弱くなりがちなピロティですが壁配置の工夫と十分な構造検討・計算を行えば、他とは違った豊かな空間性を持った建物が出来ます。新たにピロティのある建築をお考え方は弊社にご相談下さい。既にピロティのある建物をお持ちでご心配のある方はまず耐震診断からの検討をおすすめいたします。